■2007年6月10日 毎日新聞

よみがえれ江戸型山車

赤坂氷川神社9台修復へ 保存会設立、支援呼びかけ

 江戸時代に造られたといわれる貴重な山車をよみがえられようと、「赤坂氷川神社」(港区赤坂6)と同神社の氏子町会が、現存する9台の補修・復元に乗り出した。関東大震災や戦火を奇跡的に免れたものの、損傷が激しかったり一部しか残っていないものも多い。 修復の資金を募るため、、NPO「赤坂氷川山車保存会」を設立し、住民や企業の支援を呼びかけている。
 赤坂氷川神社は、江戸時代の享保14(1729)年に八代将軍徳川吉宗の命で造られた。9月に開かれる「氷川祭」では、「源頼朝」「神武天皇」などの人形を乗せた「江戸型山車」13台が神領内を巡行するのが恒例だった。しかし、明治末期を最後に巡行の記録が残っていない。震災や戦争の被害で4台を失ったほか、残る9台も山車の車輪部「御所車」がなく、巡行をできる状態ではないという。 巡行を復活させ、伝統を継承するため、修復・復元に向けた保存会を設立した。
 修復を目指す9台の状態はさまざま。「二人立」「源頼朝」「日本武尊」など、上段と人形が残る山車もあれば、人形しか残っていないものもある。
 虫食い、ほつれの著しい幕の刺しゅうは、今の裁縫技術では再現できない。海外に特注しなければならず、1枚数千万円の費用がかかるという。このほか、人形の修復、おはやし台や車輪の復元など、1台あたり数千万~1億円の費用がかかり、氏子町会だけではとても負担できない。 赤坂や近隣に所在する企業らの幅広い支援が必要と、保存会は考えている。
 15日にはANAインターコンチネンタルホテル東京(赤坂1)で設立総会を開催。まずは「二人立」の修復にむけて、活動を本格化させる。同神社の禰宜で、保存会副理事長の恵川義浩さん(35)は「山車は地域の文化財。修復に向けて、住民や企業の輪が広がり、次の世代へと引き継いでいきたい」と話している。保存会への問い合わせや入会は同神社(03・3583・1935)。【杉本修作】